2016年3月24日木曜日

玄人志向 玄箱 HG へ大容量ハードディスク向けインストール

玄箱 HG へ大容量ハードディスクを搭載したことを前提としたインストールを行ってみました。この記事は、そのまま玄箱(初代)にも対応出来ます。

大容量ハードディスク向けインストールを行った玄箱 HG です。

背景

今までは、第三パーティションへ Debian Jessie によるファームウェアをインストールすると同時に、同じ領域へそのままデータも保管していました。そのデータ保管領域を第四パーティションへ用意して、ネットディスク専用としてデータを保管させるようにしました。

/dev/sda1(Ext3, 2GB):玄箱 HG オリジナル・ファームウェア
/dev/sda2(Swap, 256MB):スワップ領域
/dev/sda3(Ext3, 2GB):Debian Jessie によるファームウェア
/dev/sda4(Ext4, 残り全部):データ保管領域(新規)

データ専用の第四パーティションを用意することで、ジャーナリング機能が強化された Ext4 フォーマットを使用できるメリットがあります。またデータ保存領域をいっぱいまで使用してもシステム領域の第三パーティションには影響を与えないため、システムの安定動作に繋がります。さらにファームウェアを大きく入れ替える場合にも、データ領域に影響を与えることなく作業をすることができるなど、様々なメリットがあります。

パソコンを使用したインストール

今までは、ハードディスクを玄箱 HG へ装着した状態でインストールを行っていました。今回は、ハードディスクをデスクトップ・パソコンへ接続して作業を行いました。今まではデータを転送して、展開しながらインストールするなど、いくつも段階を経てインストールをする必要がありましたが、パソコン上からインストールするときには手順が簡略化することができます。

ハードディスクを取り出すために分解した玄箱 HG です。

u-boot 1.2.0 のインストール

この記事の前提としては u-boot 1.2.0 が、すでにインストールされているものとして記述しています。u-boot 1.2.0 のインストールは、下記の記事を参考してインストールを事前に済ませておいてください。なお初めて玄箱(初代、HG)へ弊ブログの Debian Jessie をインストールする場合には、u-boot 1.2.0 だけでなく、全体のインストールを行って動作が出来ることを確認した後、この大容量ハードディスク向けのインストールを行ってください。
玄人志向 玄箱用 Debian Jessie 通常版(カーネル3.16 版)
http://near-unix.blogspot.jp/2016/01/debian-jessie-316.html

ハードディスクのパーティショニング

玄箱 HG のハードディスクをデスクトップ・パソコンへ接続して、パーティショニングから始めます。せっかくの機会ですので、パーティショニングを行う前にハードディスクの事前チェックを行うことをお奨めします。

玄箱 HG のハードディスクをパソコンへ接続したところです。

fdisk コマンドでハードディスクのパーティション(領域)を設定します。ここでは玄箱 HG のハードディスクが /dev/sdb となっていることを前提としています。

# fdisk /dev/sdb

DOS タイプの区画作成
小文字のオー "o" (リターン)

次のように順番にキー入力します。
第一パーティションの作成
n > p > 1 > (default) > +2048M(リターン)
第二パーティションの作成
n > p > 2 > (default) > +256M(リターン)
第三パーティションの作成
n > p > 3 > (default) > +2048M(リターン)
第四パーティションの作成
n > p > 4 > (default) > (default)(リターン)
第二パーティションを SWAP領域へ変更
t > 2 > 82 (リターン)
設定の保存
w(リターン)

ファイルシステム作成(フォーマット)

パーティショニングが終了したハードディスクへファイルシステム(フォーマット)を作ります。この場合、u-boot 1.2.0 から起動する /dev/sdb1 と /dev/sdb3 は、Inode サイズの指定(-I 128、オプションは大文字の " I " アイ)を行ってフォーマットしてください。なお Ext4 フォーマットを行う /dev/sdb4 では Inode サイズの指定は不要です。
# mke2fs -I 128 -j /dev/sdb1

# mkswap /dev/sdb2

# mke2fs -I 128 -j /dev/sdb3

# mkfs -t ext4 /dev/sdb4

玄箱 HG オリジナル・ファームウェアのインストール

まず第一パーティションへ玄箱 HG のオリジナル・ファームウェアをインストールします。オリジナル・ファームウェアは、玄箱 HG 付属の CD-ROM を使用するか、玄人志向のウェブサイトからダウンロードしてきます。ダウンロードしたファイルの中から tmpimage.tgz を探し出します。image.zip の中に圧縮された状態で保管されていますので、丹念に探してください。

第一パーティションのマウント
# mount /dev/sdb1 /mnt
ファームウェアの展開・インストール
# tar zxvf tmpimage.tgz -C /mnt
第一パーティションのマウント解除
# umount /mnt

Debian Jessie のインストール

弊ブログで配布している玄箱用(初代、HG 両用)のファームウェア類(三種類)をダウンロードしてください。
玄箱 Debian Jeesie のダウンロードサイト - グーグルドライブ
https://drive.google.com/folderview?id=0B5QdaY5lu2e3VlNQejlFYVBDS2c&usp=sharing
    kuro-kern.tgz(およそ 3MB)
    kuro-lib.tgz(およそ 3MB)
    kuro-samba-rootfs.tgz(およそ 256MB)

第三パーティションのマウント
# mount /dev/sdb3 /mnt
 ダウンロードした三つのファイルを次の順番で展開・インストールしてください。
# tar zxvf kuro-samba-rootfs.tgz -C /mnt

# tar zxvf kuro-kern.tgz -C /mnt

# tar zxvf kuro-lib.tgz -C /mnt

/jessie ディレクトリの作成(システムアップデートで使用します)
# mkdir /mnt/jessie

/etc/fstab の修正
fstab のファイルの中には、大容量ハードディスク向けのインストールに備えて準備が行われています。/dev/sda4 の行の前にある "#" マークを削除してください。
# vi /mnt/etc/fstab

#/dev/sda4 /mnt ext4 defaults,noatime,errors=remount-ro 0 0
/etc/fstab の編集

第三パーティションのマウント解除
# umount /mnt

ネットディスク用データ保存領域の設定

第四パーティションのマウント
# mount /dev/sdb4 /mnt

/mnt/kuro-box ディレクトリの作成(初期のデータ保存ディレクトリ)
# mkdir /mnt/kuro-box
# chmod 777 /mnt/kuro-box

第四パーティションのマウント解除
# umount /mnt

以上でハードディスクへのインストールは終了です。

ハードディスクを玄箱 HG へ戻して起動させます。問題がなければ Debian Jessie が起動するはずです。

ハードディスクを装着し直した玄箱 HG です。

初期設定

無事 Debian Jessie が起動したところで、シリアルコンソール または telnet でログイン(ユーザ:root、パスワード:kuro)を行い、初期設定を行います。
 -- 玄箱 --
Debian GNU/Linux 8 kurobox ttyS1

kurobox login: root
Password: kuro
Last login: Tue Jan 19 15:17:41 JST 2016 on ttyS1
Linux kurobox 3.16.7-ckt11_Livingston #14 Tue Jan 19 04:45:30 UTC 2016 ppc

The programs included with the Debian GNU/Linux system are free software;
the exact distribution terms for each program are described in the
individual files in /usr/share/doc/*/copyright.

Debian GNU/Linux comes with ABSOLUTELY NO WARRANTY, to the extent
permitted by applicable law.

root@kurobox:~#

 インストールしたファームウェアのシステムの依存関係の整理を行います。
 -- 玄箱 --
# depmod -a

パスワードの再設定を行ってください。パスワードの変更は強くお奨めします。
 -- 玄箱 --
# passwd
Enter new UNIX password:
Retype new UNIX password:
passwd: password updated successfully

スワップ領域が使用されていることを確認してください。
 -- 玄箱 --
# swapon -s
Filename    Type        Size    Used    Priority
/dev/sda2   partition    262140    0    -1

データ保管領域の /dev/sda4 が /mnt へマウントされていることを df コマンドで確認してください。
 -- 玄箱 --
# df
Filesystem     1K-blocks   Used Available Use% Mounted on
/dev/root        2015056 595692   1314508  32% /
devtmpfs           62468      0     62468   0% /dev
tmpfs              62564      0     62564   0% /dev/shm
tmpfs              62564   5516     57048   9% /run
tmpfs               5120      0      5120   0% /run/lock
tmpfs              62564      0     62564   0% /sys/fs/cgroup
/dev/sda4      153792412  60868 145896212   1% /mnt

ネットワーク上に表示されるホスト名を変更する場合には、/etc/hostname を編集してください。複数の玄箱を運用する場合にはホスト名の変更は必須です。
 -- 玄箱 --
# vi /etc/hostname

kurobox ----> kurobox-hg とか?

システム内のソフトウェアの更新を行ってください。
 -- 玄箱 --
# apt-get update
# apt-get upgrade

一度電源を切って コンセントも抜いた後、本体電源スイッチを押して再起動させます。
 -- 玄箱 --
# poweroff

以上で大容量ハードディスク向けインストールは終了です。動作確認を行ってください。

障害対策

予想される障害として、ネットディスクの kuro-box へパソコンから書き込みを行おうとすると書き込みが出来ずエラーとなる場合は、/mnt/kuro-box のファイル権限を確認してください。下記の青文字のようになっていれば問題ありません。
 -- 玄箱 --
# ls -l /mnt
total 20
drwxrwxrwx 2 root root  4096 Mar 24 23:03 kuro-box
drwx------ 2 root root 16384 Mar 24 18:44 lost+found
もしも違う場合には chmod コマンドで修正してください。 そして上記の ls -l コマンドでファイル権限を確認してください。
 -- 玄箱 --
# chmod 777 /mnt/kuro-box

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